外壁塗装で使われる塗料には、さまざまな種類があります。
「それぞれどのように違うのか?」
「一体どの塗料を選べばいいのか」と迷ってしまうのではないでしょうか。
塗料は一見どれも同じよう見えますが、費用や耐用年数などそれぞれ違いがあります。
時には塗装業者任せの場合がいいかもしれませんが、できれば塗料のことについて知っておくとより納得でき、満足できる塗装工事になるかと思います。
塗料の選び方
外壁塗装の塗料を選ぶ際は、大きく3つのポイントを中心に選択することをおすすめします。
- 耐用年数
- 価格
- 塗料の特徴
まずは、以上の3つを中心に採用する塗料をお選びいただくことをお勧めします。
それぞれ簡単に説明していきます。耐用年数
耐用年数とは、塗装した塗料が建物を紫外線・雨風などから守る効果が持続する期間になります。
建物の状況や周辺環境にもよりますが、次回塗装する際の目安にもなります。価格
塗料にはいくつもの種類があり、それぞれ価格が異なるため予算に合わせた塗料選びが大切です。ただ、塗料の費用だけにこだわり過ぎると、早めに塗料の効果がなくなり、早期に再度塗り替えが必要になることになります。
そうすると長い目で見た時に、結局「高くついた」なんてことになることがあるので、注意が必要です。塗料の特徴
塗料の特徴として汚れにくいものや水に強いものなどそれぞれの特徴があります。
それぞれの塗料の性質を確認して、どんな点を優先するか、ご自宅にはどの塗料が適しているかを検討しましょう。塗料の種類
アクリル系塗料
「アクリル塗料」は、塗料の主成分がアクリル樹脂の塗料のことを指します。
軽量なので重ね塗りしやすく、また光沢があり発色しやすいため、調理家電や自動車の上塗りでよく使用されています。
最も安価な塗料ですが、耐用年数が5〜8年程度と短く、すぐに塗り直しのメンテナンスが必要になるため、「数年持てばいい」といった期間限定の建物などには使われることもあるようです。【アクリル塗料の平米単価の目安】
アクリル塗装の費用相場は、1㎡あたり1,000〜1,800円程度と、最も低価格な塗料です。
頻繁に塗り替えたい箇所に使えば、大変リーズナブルと言えます。【アクリル塗料が選ばれる理由】
・とりあえず施工費を安く抑えたい
・こまめに何度も塗り替えたい代表的なアクリル塗料◯ニッペ水性ケンエースグロス/日本ペイント株式会社
◯アレスアクアグロス/日本ペイント株式会社
◯水性コンポアクリル/エスケー化研株式会社ウレタン系塗料
主成分がウレタン樹脂である「ウレタン塗料」は、柔らかい素材なので密着性に優れています。
ゴルフボールの塗装にも使われるほど細かい箇所や曲面にも対応でき、複雑な形状の外壁にも最適です。
またモルタル・鉄・アルミ・コンクリートの外壁とも相性が良く、弾力がありゴムのように伸縮する製品もあるので、木から金属まで塗る場所を選ばない万能な塗料です。
剥がれにくく硬度があり、耐用年数は7〜10年です。
独特の光沢感があるタイプが多く、仕上がりの発色が気になる方は避けたほうがいいかもしれません。【ウレタン塗料の平米単価の目安】
ウレタン塗料の施工費は、1㎡あたり1,700〜2,500円位です。
10年に1回は塗り直しを行いたい方にはお手頃な塗料と言えるでしょう。【ウレタン塗料が選ばれる理由】
・ある程度耐用期間が長くて、できるだけ施工費を安く抑えたい
・木から金属まであらゆるところの色を統一したい。代表的なウレタン塗料◯クリーンマイルドウレタン/エスケー化研株式会社
◯ファインウレタンU100/日本ペイント株式会社
◯セラMレタン/関西ペイント株式会社
シリコン系塗料
主成分がシリコン樹脂でできている「シリコン塗料」は、総合的に住宅保存にかかるコストを大きく削減できると言われるほど、非常にコストパフォーマンス性の高い塗料です。
近年ではシリコン以上に耐用年数が長く、費用対効果が優れるラジカル制御型のハイブリッドが出てきたため、押されがちですが、これまでは最も一般的で耐用年数もそれなり長いことから多くの支持を得てきました塗料でもあります。
耐久性・耐水性・費用などのバランスが良く、耐用年数は約8〜15年です。
透湿性に富んでいるため結露が発生しにくいことも、人気の理由の一つです。【シリコン塗料の平米単価の目安】
シリコン塗料の1㎡あたりの施工費は2,300〜3,500円位です。【シリコン塗料が選ばれる理由】
・コストパフォーマンスに優れた塗料を使いたい
・長年使われていて安心できる塗料を採用したい
・光沢感のある外観に仕上げたい人
・外壁も結露対策も行いたい代表的なシリコン塗料◯水性セラシリコン/エスケー化研株式会社
◯ファインシリコンフレッシュ/日本ペイント株式会社
◯セラMシリコン3/関西ペイント株式会社フッ素系塗料
フッ素樹脂を使った「フッ素塗料」は、耐熱性・耐寒性が高いため、あらゆる気候に対応できる上、現在主流のシリコン塗料の耐用年数が10~15年といわれているのに対し、フッ素塗料の耐久年数は外壁で15~20年、屋根でも12~15年と言われている高耐久な特徴を持つ塗料です。
費用が高いので一般住宅では、外壁よりも施工面積の狭い屋根にのみ採用されるパターンが多いかもしれません。
屋根に積もった雪が滑り落ちやすいので、積雪地帯の屋根の塗装でも親しまれています。
また、酸性雨や紫外線に強く、汚れが付着しても雨で流れ落ちるため、長い期間メンテナンスをしないで済むことから、陸橋や鉄塔、高層ビルなどの塗装でも多く採用される塗料にもなります。【フッ素塗料の平米単価の目安】
フッ素塗料での施工費用は、1㎡あたり3,500〜5,000円とやや高額です。
タイプや機能によって価格が大きく異なりますが、1㎡につき2,000〜2,500円位で施工できる商品もあります。
1回の塗装の費用はかかりますが、これからも長く住む予定の家で、今後の塗り替え頻度を減らしたい場合には適している塗料とも言えます。【フッ素塗料が選ばれる理由】
・フッ素塗料は高価だが長耐久で長い目でみるとお得
・立地的に頻繁に外壁塗装を行うのは大変な建物など代表的なフッ素塗料◯デュフロン4FIIスーパーフレッシュ/日本ペイント株式会社
◯弾性スーパーセラタイトF/エスケー化研株式会社
◯アレスダイナミック/関西ペイント株式会社ラジカル系塗料
「ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)」は、これまでの塗料で多かったチョーキング現象の発生を抑えるために開発され、2012年に発売を開始した比較的に新しい塗料です。
塗膜の劣化・変色を防いでくれる、「高耐候酸化チタン」や「光安定剤」を主成分としています。
耐用年数は8〜16年になります。【ラジカル塗料の平米単価の目安】
ラジカル塗料でのリフォーム費用は、1㎡あたり2,200〜4,000円が目安です。
価格帯は従来のシリコン塗料、耐久力は従来のフッ素塗料とほぼ同等であることから、今後の外壁塗装では主流になると期待されている塗料になります。【ラジカル塗料が選ばれる理由】
・比較的リーズナブルで高性能な塗料を使いたい
・シリコン塗料と同等のコストパフォーマンス性を求めている
・最新技術の塗料を試したい代表的なラジカル塗料◯パーフェクトトップ/日本ペイント株式会社
◯エスケープレミアムシリコン/エスケー化研株式会社
◯アレスダイナミックTOP/関西ペイント株式会社セラミック系塗料
セラミックが配合された塗料のことを「セラミック塗料」と言います。
セラミック塗料と呼ばれる物には、主に以下のような3つのタイプがあります。①セラミックビーズを加えることで熱を遮断し「断熱」や「遮熱」の効果を発揮する
②親水性が高いため外壁が汚れにくくなる「低汚染性」の機能がある
③陶磁器の材料を吹き付けることにより「石材調のデザイン」にできる耐用年数は約10〜20年ですが、その理由として塗料内の合成樹脂の成分によって変化します。
例えば、セラミック+シリコン配合の塗料よりも、セラミック+フッ素配合塗料のほうが、塗料の耐久性が高くなります。代表的なセラミック塗料◯ジキトーンセラローラー/日本ペイント株式会社
◯エレガントストーン/エスケー化研株式会社
◯アレスシリコンストーン/関西ペイント株式会社光触媒塗料
「光触媒塗料」は、白色の顔料である「酸化チタン」の性質を利用した塗料です。
酸化チタンが、太陽光から放出される紫外線が当たって化学反応を起こすことで、壁面に着いた汚れを分解します。
耐用年数は10〜20年もあると言われており、雨水を利用して汚れを自然に洗い流してくれるという魅力もありますが、現在の塗料の中では最も高額です。
なお、紫外線や水(雨)が当たらないと効果を発揮しにくいため、隣家との距離が近い。
もしくは日当たりが悪い建物では、相性が合わない場合があるので注意が必要です。また主原料が白色顔料であるため、濃いカラーの外壁にはできません。
さらに、光触媒塗料には、屋根用の商品が存在しないため、屋根と外壁の塗装を行う際、外壁を光触媒塗料にしても、屋根は別の塗料で塗り替える必要があります。- 【光触媒塗料の平米単価の目安】
光触媒塗料での塗装は、1㎡につき3,800〜5,500円位が目安です。
塗装費用はかかりますが、掃除の手間や塗り替え頻度が軽減することを考えると、メンテナンスしやすい優良な塗料と言えます。【光触媒塗料が選ばれる理由】
・日当たりが良い家に住んでいる
・外壁の手入れの頻度を減らしたい代表的な光触媒塗料◯ハイドロテクトコート/TOTO株式会社
◯『ピュアコート』シリーズ/株式会社ピアレックス・テクノロジーズ
◯『エヌティオ』シリーズ/日本特殊塗料株式会社無機塗料
「無機塗料」は、無機物(鉱物)を主成分としています。
チョーキングや色あせといったトラブルは、有機物の劣化によって引き起こされるため、無機物を使った塗料であれば外壁が汚れにくいというメリットがあります。
さらに特徴としては、不燃性が高いことでも人気があります。ただ無機質だけでは固すぎて、ひび割れが発生しやすくなるので、現在「無機塗料」と呼ばれている製品はほぼ、最低限の量の有機物(合成樹脂)と混合した「有機・無機ハイブリッド塗料」です。
耐用年数は10〜25年で、フッ素塗料や光触媒塗料よりも強いと期待されていますが、具体的な耐久性は、混ぜる有機物がアクリルかシリコンかなどで変動します。
なお前述した「セラミック」も、無機物の一種であるため、セラミック塗料と無機塗料は同質と考えて良いでしょう。【無機塗料の平米単価の目安】
無機塗料の塗装費用は、おおよそ3,500〜5,500円/㎡です。
非常に長持ちすることを考えると、決して高額ではないと言えるかもしれません、【無機塗料が向いている家】
・耐久力が高いと注目されている塗料を採用したい
・燃えにくい塗料で、防火性の高い外壁にしたい代表的な無機塗料◯ダイヤモンドコート/日本ペイント株式会社
◯セラミタイトペイント/エスケー化研株式会社
◯アレスダイナミックMUKI/関西ペイント株式会社外壁塗装時の塗料の選び方
以上のように塗料だけで見てもたくさんの塗料があり、それぞれの特徴が異なります。
ご自宅の外壁材に相性が良い・悪いなどもありますので、価格だけでは塗料を判断せずに、慌てずにしっかり検討されてから塗装を行うことをお勧めします。信頼おける施工業者さんにもよく相談されるといいかもしれません。